独学者のための勉強法

【合否を分ける】中小企業診断士に独学合格するための正しい順番

【合否を分ける】中小企業診断士に独学合格するための正しい順番
  • 7科目もあるから、どんな順番で勉強すればいいかわからない
  • 科目が多いから、先に勉強した科目を忘れてしまうのが心配
  • 1科目ずつ勉強した方がいい?複数の科目を同時並行した方がいい?
  • どの科目を、どれくらい勉強したらいい?
  • 2次試験の勉強も並行して進めた方がいい?

こんな悩み・疑問にお答えします。

 

中小企業診断士の1次試験は7科目もあります。どういう順番で進めていけばいいのか、悩ましいですよね。

 

でも、安心してください。これらの疑問を持った人は、疑問を持たない人よりも明らかに合格に近いです。なぜなら、やみくもに勉強するのではなく、戦略的に勉強しようとしているから。行き当たりばったりよりも戦略的に進んだ方がゴールに近付けるのは、当然でしょう。

 

ここでは、独学合格するために7科目を効率よく勉強するための順番をお伝えします。徹底的に無駄を省いて、効率よく合格しましょう。

 

「勉強の順番」と「勉強時間の構成比」(具体例)

まずは具体例として、私が受験したときの例をお伝えします。

勉強時間を記録していたスケジュール表があったのですが、受験後に捨ててしまったので、勉強時間の構成比は正確ではありません(おおよその数字です)。

順番 科目 勉強時間構成比 繰り返し頻度
1 経済学・経済政策 19%
2 企業経営理論(2) 17%
3 財務・会計(2) 19%
4 運営管理(2) 17%
5 経営法務 13%
6 経営情報システム 10%
7 中小企業経営・中小企業政策 5%

(2)と記載しているのは2次試験の科目です。

 

繰り返し頻度の高い4科目は順不同

結論として、「繰り返し頻度」が高い上位4科目は、どれから始めてもOKです。理由は、結局何回も繰り返すから。後述する「得点計画」や「学習経験」「興味」などを勘案して、モチベーションを維持しながら進めていきましょう。

 

以下、なぜ上記のような勉強の順番にしたのか解説していきます。

 

勉強の順番より大事な「勉強の基本的な考え方」

勉強の順番より大事な「勉強の基本的な考え方」

まず、基本的な考え方をお伝えします。重要なので、飛ばさず読んでほしいところです。

 

1回やって終わり、ではない(当然!)

当然のことながら、「1回勉強しただけで全てを理解して覚える」など不可能です。
天才なら可能かもしれませんが、普通は無理です。

 

「1回で全部理解して覚えてやる!」と意気込むのは、効率が良さそうに見えて、実は非効率。最初からじっくり時間をかけて取り組んだところで、時間が経つにつれて忘れていくのが人間です。

 

「復習を繰り返す」のが効率的な勉強法の基本

効率の良い勉強法は、「復習を繰り返す」というもの。復習が勉強の王道です。

 

「復習なんてめんどくさい」「なるべく復習しないで済む方法はないのか」と思われるかもしれません。正直、「なるべく1回で済ませたい」と私も思います。

 

ただ、残念ながら、計画的に復習した方が効率的なのです。具体的には、はじめは短い間隔で復習し、少しずつ間隔を伸ばしていきます。そうすると、復習がどんどん簡単になっていきます。

 

「復習を繰り返す勉強法」のメリットは、下記のとおりです。

  • すっかり忘れてしまう前に何度も繰り返すことで、記憶に定着させることができる
  • 何度も繰り返す内に知識と知識がつながり、理解が深まる
  • 繰り返す回数が増えるにつれ、復習に必要な時間がどんどん減っていく

 

逆に、1つずつ順番に取り組み、時間が経ってから復習する勉強法だと、

  • 全然思い出せないので問題が解けない
  • ゆえに、復習に時間がかかる
  • モチベーションも下がる

となる恐れが高いです。

 

「1科目ずつ」完璧に仕上げてはいけない

上記を読んでいただくとわかるとおり、「1科目ずつ完璧に仕上げていく」という勉強法は、おすすめしません。

 

  • 【理由1】非効率だから。1科目仕上げることができたとしても、次の科目を仕上げ終わったあたりで、最初の1科目のことは忘れてしまいます。
  • 【理由2】飽きてきてしまう可能性が高いから。興味が薄れてくると、学習効率も低下します。

 

それと、そもそも100点は目指しません。解けなくても合否に影響を与えないような問題(つまり受験生の大半がわからないような奇問・難問)は、捨てた方が効率的です。重要度が高い論点から重点的に勉強して、確実に合格点を取りにいきましょう。

 

勉強の順番を決める具体的な手順

勉強の順番を決める具体的な手順

ここから、順番を決める具体的な手順をお伝えしていきます。

 

「暗記系」と「思考系」の2つに分ける

まず、7科目は「暗記系」と「思考系」に分けることができます。

「暗記系」は「覚えていれば問題が解ける系」「思考系」は「理解して応用できなければ問題が解けない系」です。

具体的には次のとおり。

  • 暗記系

企業経営理論(2)
運営管理(2)
経営法務
経営情報システム
中小企業経営・中小企業政策

  • 思考系

経済学・経済政策
財務・会計(2)
運営管理(2)

ご覧のとおり、暗記系の科目が多いです。暗記系は、Ankiやマインドマップなどのツールを使えば効率的に覚えられますので、別途お伝えします。

 

企業経営理論は、「暗記系」としています。「思考系」に分類されることもありますが、「経済」や「財務」のように「理解してないと解けない」ような問題ではありません。

診断士の中核的な科目なので当然に理解は必要ですが、理解にかかる時間も「経済」や「財務」ほどは不要です。2次試験対策のとき、復習しながら理解を深めれば大丈夫。

 

運営管理は、「暗記系」と「思考系」の中間という位置付けなので、両方に記載しています。

 

勉強する順番のポイント

ポイントは次のとおりです。

  • 「暗記系」より「思考系」が先。
  • ただし、重要度が高い「企業経営理論」は前半に。
  • 「経営法務」を完全に後回しにするとヤバイので中盤に。
  • 得点計画を踏まえた優先順位に。

 

  • 「暗記系」より「思考系」が先。

「暗記系」は直前にまとめて詰め込んでもなんとかなりますが(なんとかならないレベルの科目もあります)、「思考系」は理解するために時間が必要です。よって、基本的には「思考系」から始めた方が良いです。

 

  • ただし、重要度が高い「企業経営理論」は前半に。

「企業経営理論」は診断士の中核的な科目。その他の科目を勉強する際に必要となる知識もあり、土台となる科目なので、早期に取り組んだ方が吉です。

難しくもなく、とっつきやすく、面白いので、モチベーションが上がります。「診断士の勉強をしている」と感じられる科目です。

 

  • 「経営法務」を完全に後回しにするとヤバイので中盤に。

経営法務は例年、科目合格率(科目合格者数を科目受験者数で割ったもの)が低いです(1桁の年もざらにある)。覚えることも多いので、ぎりぎりまで放っておくと足切りの危険があります。中盤には取り組んでおいた方が良さそうです。

 

  • 得点計画を踏まえた優先順位に。

人それぞれ、科目の向き・不向き(得意・不得意)があるものです。自分に合った得点計画を作り、得点を稼げそうな科目は優先的に勉強します。

 

「得点計画」とは、試験合格のため「どの科目で何点獲得することを目指すか」を決めたもの。勉強を始める前に、ざっくりでもいいので得点計画を立てておきましょう。あとから変更しても大丈夫です。

 

得点計画のポイントは、以下のとおり。

  • 得意(そうな)科目で高得点を目指す(例:80点)
  • 不得意(そうな)科目は60点を目指す
  • どちらでもなければ65点を目指す

こういう計画を立てておくと、不得意科目が60点に達しなくても、得意科目でカバーできます。

 

ただし、年度によって科目の難易度は大きく変動します(※)。「得意科目が極端に難しくなっていて、点を稼ぐことができない」という可能性も、残念ながらあるのです。

なので、得意科目はあくまでも「合格確率を高めるためのリスクヘッジ」という位置付け。不得意科目でも60点を取れるよう、重要論点は確実に押さえておいた方が安心です。

 

【※科目別の難易度について】

例えば、平成29年度の「財務・会計」の科目合格率(科目合格者数÷科目受験者数)は25.7%だったのに対し、翌30年度は7.3%と大きく低下しています。この他にも色々とありますので、詳しくは【最新版】中小企業診断士試験の合格率まとめ【気になる難易度】をご覧ください。試験対策にも有効です。


 

「自分に合った勉強の順番」が合格への近道

「自分に合った勉強の順番」が合格への近道

「基本的な考え方」で繰り返し復習する重要性をお伝えしました。が、「暗記系」の「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」は、そこまで繰り返さなくても大丈夫です(もちろん個人差はあります)。

 

①「思考系+企業経営理論」という上位4科目を重点的に繰り返し、②「繰り返し頻度」の低い一部の暗記系は後半に回して「記憶から抜け落ちる」のを少しでも阻止しましょう。

 

とは言っても、実際に順番を決めるときは「勉強する順番のポイント」を参考にしつつ、「自分に合った勉強の順番」を組み立てていくと良いです。

得点計画や勉強経験、得意・不得意などが異なれば、何にどれだけ時間を費やすべきかも異なるはずだからです。

自分に合ったカリキュラムを自由に組み立てられるのが独学のよいところです!(それが合格への近道にもなると思います)

 

勉強の順番の具体例(再掲)

冒頭でもお伝えしましたが、私が受験したときの具体例は下記のとおりです。

順番 科目 勉強時間構成比 繰り返し頻度
1 経済学・経済政策 19%
2 企業経営理論(2) 17%
3 財務・会計(2) 19%
4 運営管理(2) 17%
5 経営法務 13%
6 経営情報システム 10%
7 中小企業経営・中小企業政策 5%

以下、各科目の勉強のポイントなどを、ざっくりお伝えしていきます。

 

  • 経済学・経済政策

知識ゼロだったのですが「理解してしまえば得点源になりそうだ」と思ったのと、そもそも1番時間がかかりそうだったので、「経済学・経済政策」から始めることにしました。この年(平成28年度)は経済学が易しめの年だったこともあり、狙いどおり点を稼ぐことができました(80点台半ば)。

 

  • 企業経営理論

企業経営理論は、純粋に面白いです。中小企業診断士の受験生の大半は、きっと企業経営理論を学びたいはず。自社のことや身近な企業に置き換えて考えると、単なる暗記にならず理解も深まります。

 

  • 財務・会計

2次試験の事例4がまるっと財務・会計なので、ここを伸ばすのはかなり重要です。公認会計士・税理士、金融機関勤務の人など、財務・会計に強い人たちとの差がつきやすいところなので、食らい付きたいところ。ちなみに私は簿記の知識もゼロだったので、苦労しました。ほぼほぼ問題集オンリーでしたが、なんとか合格点は確保できました。

 

  • 運営管理

運営管理は、企業経営理論の次に学びやすい科目と言えます。そのうえ、2次試験の事例3が運営管理なので、重要度も高い。マインドマップにまとめていくと、知識が体系化され、見直しも簡単です。

 

  • 経営法務

前述のとおり、経営法務は科目合格率が低い傾向にあります。言い換えれば、1次試験の合格に必要な「総点数」を下げる要因になりやすい科目です。足切りは回避しなければならないので、重要論点は確実に取れるようにしておく必要があります。

まぎらわしいものが多く、曖昧な知識だと間違えてしまう可能性が高いので、正確な知識を入れていくことが重要。似たようなものは「どこがどう違うのか」を表などにまとめて、違いを明確にしておくと良いです。

 

  • 経営情報システム

暗記科目とは言っても、聞きなれない言葉のオンパレードでは暗記するのも難しいものです。システム関係は、得意・不得意が明確に分かれます。システムに強い人なら得点源になると思います(異常に難易度が高い年もあるので、その点は要注意)。

 

  • 中小企業経営・中小企業政策

中小企業経営・中小企業政策は、最後の最後。毎年4月に中小企業庁から出される「中小企業白書」「小規模企業白書」から出題されます。経営法務と同様、重要なところを中心に、似たような用語の違いを押さえていけばOKです。

 

2次試験対策は並行不要

2次試験の科目は、「企業経営理論」「運営管理」「財務・会計」です。これらは、1次試験対策で繰り返し勉強する頻度が高い科目。しっかりと繰り返し勉強しておくことが、そのまま2次試験にもつながります。

 

なので、2次試験のための勉強(=2次試験に特化した勉強)は、1次試験合格後からで大丈夫です。

 

中小企業診断士に独学合格するための勉強の順番まとめ

最後にポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 暗記系より思考系から始める
  • 得点計画を踏まえて、科目に優先順位をつける
  • 「思考系+企業経営理論」の計4科目が重点科目
  • 1科目ずつ仕上げていくのではなく、重点科目を計画的に繰り返す
  • 「繰り返し頻度」の低い一部の暗記系は、後半に回す
  • 2次試験に特化した対策は、1次試験合格後でOK

 

時間は限られています。合格するために「何にどれだけ時間を費やすか」は非常に重要。「時間の使い方が合否を分ける」と言っても過言ではありません。徹底的に無駄を省き、戦略的に、効率よく合格を目指しましょう!

 

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